人のいない庭
海
いつの間にか人が住まなくなった家がある。人が住んでいた頃の庭は常に花々が咲き誇り、小鳥を寄せるバードハウスもあり、小鳥の鳴き声で賑わっていた。いつも庭に出て手入れをしている人の姿もあった。
ある時から庭の様子に翳りを感じた。小鳥の鳴き声は無く咲いている花はどこか乱れていた。人の姿も見当たらず、しんとしていた。
それから数ヶ月後、庭には雑草が蔓延り荒れ放題となって今に至る。
その庭の前を通る度、自分の不精という心当たりが胸を打ってくる。雑草のように増えていく本や書類。僕という者が居ながら、無人さながらの部屋。