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mizunomadoka


悲しいことがあったなら
目を閉じて数を数えなさい
ひとつ。1歳の出来事
ふたつ。2歳の出来事
そんな風に思い浮かべながら
自分の一つ先の歳まで

人や運命を憎みたくなったら
海を憎みなさい
足元も見えぬ暗い波に石を投げ
砂でも貝でも
戦利品を持ち帰りなさい

風が冷たい
雨が止むのを待ってる
昨日は遥か昔で
私以外ループしてる
光が私たちを人にする
闇は心の迷宮
街灯とアスファルトが切れると
少しだけ怖くなる
夜弦の星座
永遠の森

雨みたいに泣いて
夜みたいに眠る
朝みたいに目覚め
子供みたいに笑う
ジャッカルみたいに食べ
雪みたいに溶けて
母の教えも忘れる

痛みは痛みのまま
愛は愛のまま
何物にも置き換えられず
時間に消える

浮かべた思いと
投げた石が
どこかに流れ着く








自由詩 letters Copyright mizunomadoka 2025-02-03 05:21:30
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