雲の思考、声のうた
ひだかたけし

雲がゆっくりゆくり移動していく
風が吹いているからではない
自らの意志で動いていくのだ
普き善きもの目指す意志の営み
雲の生活の道筋が
深い山の谷間で生まれ
光の大洋で霧散し天に呑まれ
繰り返される供犠に自らを捧げ
雨となり永久に生かされるを願う

  *

ゆっくりゆくり雲が移動していき
光の大洋で雨滴となり
雨の降りしきる
人の内なる光の大洋に
自らの身を打ち付け
今日も無数無限の
青い青い波紋の拡がり
うねる海原の打刻に
生かされ人の内から溢れ出し
巻き込む人に掬い取られ巻き込んで

今日も雲の流れ雨の降りしきる
人の内に流れ雲の雨降りしきる

とほい浜辺の水際に 今だぼっと佇む人も居て
孤立の寂しき夢想の声の喚き散らされながら

それでももっと奥にいけばいくほどに
名なき裸形の独り人の内なる宇宙に
雲の流れ雲の絶えざる雨降りしきり
無限の青い波紋の拡がりうねる打刻から

意志の営みの所産、
立ち上がるイメージの綴れ織り

巻き込む人の内から溢れ出し
直に観入られ 、
掬い取られ巻き込み生かされ

言の葉散らし 悉く善き声となり響き渡る






自由詩 雲の思考、声のうた Copyright ひだかたけし 2025-01-30 20:02:43
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