あやまち
栗栖真理亜

信じたい
今は亡き祖父のことを
信じたくない
祖父が戦中行なった行為

祖父が戦いに行ったボルネオにも
台湾から強制的に連れて来られた従軍慰安婦達がいた
祖父は「戦地でカフェのマダムと仲良くなった」と言っていた

展示から浮かび上がる従軍慰安婦達が勤めていたカフェの写真
またそのマダムも日本名を名乗らされた異国人かも知れない

戦乱のドサクサに紛れて男と消えたマダム

従軍慰安婦の記録は戦後の混乱のなかで都合のいい思い出のみ遺して
祖父や他の日本人の記憶から消えていったのかも知れない


自由詩 あやまち Copyright 栗栖真理亜 2025-01-30 10:05:49
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