Surprise
栗栖真理亜

二週間ほどが経ってもまだ興奮冷めやらぬ

二週間前の日曜日
確かに私は見たのだ
予想だにしなかった誕生日プレゼント
私にとっては一ヶ月早い誕生日のお祝いだった
しかもとても大きな大きすぎるほどの

観劇前に届いた一通のメール
座席変更を知らせる唐突なメールだった
私は知らなかった
ふたを開けるまでは
当日に劇場の簡易事務室でチケットを引き換え席に着いてから
初めて知った

なんと一番前の席の真ん中
芝居が始まってからはまるで夢のような出来事が次々と起こった

舞台真ん中に設置された踏み出し台のようなもの
少しせり出した特設の舞台に立ち私の好きな俳優が目と鼻の先で芝居する
じっくりと表情まで読み取れるほどの距離で彼の生み出した物語が進行してゆく
可笑しくも哀しいストーリー
戦時中に生き抜こうとした日本人の深い寓話
こんなに贅沢なことはない
私は恥ずかしさと感激のあまり顔を火照らせながら
客席から沸き起こる笑いと啜り泣きの狭間で
歓喜の波に激しく揺れていた


自由詩 Surprise Copyright 栗栖真理亜 2025-01-30 01:42:01
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