罪人
髙任勇梓 Takatoh Yuji

可哀相に
末期の息の定まらぬなか
彼女は逝つた
夭折の詩人
美しい稱號
だけど僕は敢へて
可哀相に、と云ふ

死んだ若者は
祟りなす事すら知らず
今日を棄てゝ
明日は冥府を彷徨ふ

賽の河原は
地藏菩薩の繩張り
ボスのやうな顔は決してしない
温顔の
ボスだ

一つ積んでは親の為
何が樂カナしうて僕はそれを歌ふ?
落ち着かないのだ
彼女の來世を思ふと

因果と云ふ
蜘蛛の脚に
糸が絡まり
落ちてはこない

落ちてはこない糸- を待つ
否、待つ事すら
こゝでは罪なのだ 罪人ツミビト
である彼女を
悼む

#詩


自由詩 罪人 Copyright 髙任勇梓 Takatoh Yuji 2025-01-29 16:24:00
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