罪人
髙任勇梓 Takatoh Yuji
可哀相に
末期の息の定まらぬなか
彼女は逝つた
夭折の詩人
美しい稱號
だけど僕は敢へて
可哀相に、と云ふ
死んだ若者は
祟りなす事すら知らず
今日を棄てゝ
明日は冥府を彷徨ふ
賽の河原は
地藏菩薩の繩張り
ボスのやうな顔は決してしない
温顔の
ボスだ
一つ積んでは親の為
何が樂カナしうて僕はそれを歌ふ?
落ち着かないのだ
彼女の來世を思ふと
因果と云ふ
蜘蛛の脚に
糸が絡まり
落ちてはこない
落ちてはこない糸- を待つ
否、待つ事すら
こゝでは罪なのだ 罪人ツミビト
である彼女を
悼む
#詩