ナザレ(銃)
川崎都市狼 Toshiro Kawasaki

生きとし生ける
群衆は群れる羊たち
然しそれぞれが
詩を持つてゐる
俺の愛し子

美しき若者で
あつた俺は
狼で
あつた俺を
自ら屠つた

銃を持つのは
最後の獸らしき
臭ひを放つ者
末期の息の下で
銃-

彈ごめをしくじるな
身輕き位階の
タケルらよ
永遠は
花火ではないか

と、輕率さを装ひ
俺は云ひ放つ
刹那 神 デウス・エクス・マキナ
装置の仕組みは
よく知つてゐるのだ

雉一羽
仕留めた人は
詩人であつた
田園の數秘術を
諳んじてゐた

作業部屋にも
羊たちは溢れる
毛皮 黄金の
それすらも
獸の惡習に従ふ

神 デウス・エクス・マキナ
ひよつとすれば
面を被つた
お前やも知れぬ
そこに俺の

ナザレがある。

#詩


自由詩 ナザレ(銃) Copyright 川崎都市狼 Toshiro Kawasaki 2025-01-28 16:20:52
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