ナザレ(銃)
川崎都市狼 Toshiro Kawasaki
生きとし生ける
群衆は群れる羊たち
然しそれぞれが
詩を持つてゐる
俺の愛し子
美しき若者で
あつた俺は
狼で
あつた俺を
自ら屠つた
銃を持つのは
最後の獸らしき
臭ひを放つ者
末期の息の下で
銃-
彈ごめをしくじるな
身輕き位階の
タケルらよ
永遠は
花火ではないか
と、輕率さを装ひ
俺は云ひ放つ
刹那 神 デウス・エクス・マキナ
装置の仕組みは
よく知つてゐるのだ
雉一羽
仕留めた人は
詩人であつた
田園の數秘術を
諳んじてゐた
作業部屋にも
羊たちは溢れる
毛皮 黄金の
それすらも
獸の惡習に従ふ
神 デウス・エクス・マキナ
ひよつとすれば
面を被つた
お前やも知れぬ
そこに俺の
ナザレがある。
#詩