まぼろしのひと
秋葉竹


 

朝焼けの光の中に立つ影が
まぼろしだったか

夜更かしを楽しむ吸血鬼の集会が
まぼろしだったか

転落だらけの人生で
過去のトクベツだけがキラキラキラリと

泣きたいくらいの眩しさで
語りかけてくる

ねぇ、知ってる?
産まれたそのときが一番清くて

そして年をふるごとに汚れてゆき
そしてだけどある瞬間をきっかけに

死ぬまでどんどん
どんどんどんどん透き通ってゆくんだよ?

そして消えてなくなり
そしてなにも残らないこと

だけを押さえて生きてられれば
けっこう大きな声で笑えるよ?








自由詩 まぼろしのひと Copyright 秋葉竹 2025-01-28 15:25:49
notebook Home