いつか、きっと風になる私
鏡文志
家を忘れ、道を忘れ、記憶を忘れ 怖ささえ忘れたならば
もう、引き返す道さえ ありはしない
家を忘れ、道を忘れ、記憶を忘れ 怖ささえ忘れたならば
もう、たどり着く道も ありはしない
メモを忘れ、ペンを忘れ 言葉さえ忘れたならば
もう、書き連ねる言葉さえ、ありはしない
夢を忘れ、人を忘れ 声さえも忘れてしまったならば
もう、発する言葉も ありはしない
夢でもなく 現実でもなく 希望でもなく
ネガティブでもなく ポジティブでもなく
突然、荒野に立つ自分の姿を見た 発作的な目覚め
空も海も太陽も 街に群がる人の群れも
全部、裸にすれば一人ぼっちだって気づいた
土手に風吹く 夕暮れ後、黄昏時