いつか、きっと風になる私
鏡文志

家を忘れ、道を忘れ、記憶を忘れ 怖ささえ忘れたならば
もう、引き返す道さえ ありはしない
家を忘れ、道を忘れ、記憶を忘れ 怖ささえ忘れたならば
もう、たどり着く道も ありはしない
メモを忘れ、ペンを忘れ 言葉さえ忘れたならば
もう、書き連ねる言葉さえ、ありはしない
夢を忘れ、人を忘れ 声さえも忘れてしまったならば
もう、発する言葉も ありはしない
夢でもなく 現実でもなく 希望でもなく
ネガティブでもなく ポジティブでもなく
突然、荒野に立つ自分の姿を見た 発作的な目覚め
空も海も太陽も 街に群がる人の群れも
全部、裸にすれば一人ぼっちだって気づいた 
土手に風吹く 夕暮れ後、黄昏時


自由詩 いつか、きっと風になる私 Copyright 鏡文志 2025-01-27 20:19:49
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