海月
本田憲嵩


夜の終わり、ねむり、やがて抱き合って半透明になりながら夜空へと浮遊してゆく存在たち、存在たち、灰色の雲の膜を張るように、あの輝く満月に一つになりながら覆いかぶさってゆく、覆いかぶさってゆく、まるで陶酔の結晶のような一体の海月となって。暗い海の中をどこまでも泳いでゆく、泳いでゆく――。
海月、夜の海の中でまるで月が輝いているように見えるのがその名前の由来だというが、これは、そんな二人の海月の由来。




自由詩 海月 Copyright 本田憲嵩 2025-01-26 22:54:56
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