詩想、私である
ひだかたけし
渚に ある日から
真っ直ぐ平らかに
置かれた鏡
であるわたし
潮に洗われ
今にも海原に
奪われるかの如く
今にも浜辺に
打ち上げられるかの如く
望み叶い難い危うさの際で
只々じっとしずまる
わたしである
置かれた鏡の
真っ直ぐ平らかに
熱く耐えて持続し
呆然と日々を送り
あれから約二年半
潮に洗われ繰り返し
繰り返し洗われ続け
曇り一点もなくなり
鮮明に澄みわたり
何ものかの生動
映し出し
映し出され
自らへの意識
得る瞬間 しかし
錯誤することなく
生動する何ものか
自らへの意識の
本体と認めつつ
潮に洗われ続ける
望み叶い難い
危うさの際
なにものかの生動
現れては消え
消えては現れて
己を見切り諦め
尚も己を認め識り
生動するなにものか
思考するわたしの根源
自らの意識に刻み込み
捉え難きを直に生かし
生きいきと思考しながら
鏡である私である
生で在り続けること
止むまで 只々じっと
自ら摩滅すること引き受けて、
浜辺に打ち上げられるか
海原に呑まれるのか
それは知らねど
生動する何ものか
思考する私の根源と
合一する迄 、
渚に真っ直ぐ平らかに
潮に洗われ続ける私である