きぬぎぬ
川崎都市狼 Toshiro Kawasaki
あえかなキスだけが
僕たちのレゾン・デエトル
逢ふたびにその意は強まる
日の射さない公園の
仄暗さが見守つてゐる
嗚呼y.川
岸邊ではバーベキューパーティ
金曜日
仕事を休んでまで皆何をやつてゐる
職を持たない僕たちに
云へる事ではない
愛は戀を突き拔け
やがて色どりはくすむ
ハモニカを吹く工事のをぢさん
僕は立ちションのあとに
ハンカチで手を拭ひ
ご免ねこんな僕で
と
心で呟く
水が近くにあるからか
氣持ちが馴染むんだよな、短いデイトの
やりくりの時間は
僕たちの緊張の
ほぐれの時
ほんの40分ほどで僕の責務は終はる
騎士のやうにきみを送り届け
さて別れに何を…
きぬぎぬと云ふは莫迦げてゐる
もう直き2時だ
#詩