きぬぎぬ
川崎都市狼 Toshiro Kawasaki

あえかなキスだけが
僕たちのレゾン・デエトル
逢ふたびにその意は強まる
日の射さない公園の
仄暗さが見守つてゐる

嗚呼y.川
岸邊ではバーベキューパーティ
金曜日
仕事を休んでまで皆何をやつてゐる
職を持たない僕たちに
云へる事ではない

愛は戀を突き拔け
やがて色どりはくすむ

ハモニカを吹く工事のをぢさん
僕は立ちションのあとに
ハンカチで手を拭ひ
ご免ねこんな僕で

心で呟く

水が近くにあるからか
氣持ちが馴染むんだよな、短いデイトの
やりくりの時間は
僕たちの緊張の
ほぐれの時

ほんの40分ほどで僕の責務は終はる
騎士のやうにきみを送り届け
さて別れに何を…
きぬぎぬと云ふは莫迦げてゐる
もう直き2時だ

#詩


自由詩 きぬぎぬ Copyright 川崎都市狼 Toshiro Kawasaki 2025-01-23 12:51:34
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