樂園喪失 -アルチュウルに-
川崎都市狼 Toshiro Kawasaki

たまゆらに生きて
墓は草木
名は殘さぬ
ひたすら現世を思ふ
私は徒然と云ふ事を憎み
仕掛け花火の每日に屈する
ワイン
さへあればよい 酔うて横丁に
世迷ひごとを響かせる

さらば、さあらば
さよならだけがわが魂タマのきざはし
天にも冥府にも
居場所はないが

このかなしみを
よし とうべなうとき
そこにたちまちひかりがうまれる 八木重吉

どら聲が
重吉の靜謐を破つて
横紙破りの
ポエトリイ
私は綴るのではない
發聲するのだ
發熱するのだ

さらば、さあらば
されば地表 この生きると云ふリンボオが
林檎を腐らせ 蛇を駆逐するか

私の肋骨 イヴは
どこだ(樂園喪失よ遅參するな)
金銀財寶 くれてやらうと稼業する

#詩


自由詩 樂園喪失 -アルチュウルに- Copyright 川崎都市狼 Toshiro Kawasaki 2025-01-23 10:21:55
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