青い鳥
栗栖真理亜
喫茶店のカウンター席で少し苦味の強い珈琲を啜りながら辺りを見回すと
カウンターの真上一直線に吊られた細いステンレスの棒に
ドライフラワーふた束が仲良く並んで吊り下げられている
そしてそれらに並ぶように吊り下げられた焦茶色の小さな鳥籠ひとつ
鳥籠のなかには青い髪の毛を生やし
半分人間なのか鳥なのか判別つかないぐらいに造形された鳥の人形が
銀色に光る瞳でこちらをじっと凝視している
あゝ青い鳥よ青い鳥
青く燃える羽根は両脇に閉じられたまま
白粉のように白い腹と顔をこちらへ向けて
「幸せはもう見つけたかい」
君のその目の覚めるような橙色の嘴からはそんな声が聞こえるよ
頭のなかで反響しあいながら
無機質な眼差しに背筋を少しぞわりと撫でられながら
少し緩くなった珈琲をまたひとくち啜った