慾求 -茶色い詩-
川崎都市狼 Toshiro Kawasaki

詩が差し迫つてくると
私の中のアラームが鳴る
排便の際の
直腸のサインと同じ事だ
その詩情はもはや老廢物である
と、肉體が云ふ譯で
この場合 精神は肉に隷属してゐる
譯で-

出してしまへ
出して、出し切つてしまへ

穢い話
などではない
生理的慾求を穢い と云ふ人は
最近さう見かけない

世の中の進歩とは
斯くあるべし
と私も思ふ

痔疾の苦しみを美と謂ふ人はゐないだらう
確かヴァレリーがそんな事を
アフォリズムとして遺したが
時代は移るし

詩は變はる
なんならこの私が
痔疾を詩ウタつてみせやうか
またの機会に

茶色い詩
で、よいのだよ
ヴァレリーさん

(note:フロイト學派的視坐から云つても
直腸サインと並ぶ詩とは
壯観な譬へではないだらうか)

#詩


自由詩 慾求 -茶色い詩- Copyright 川崎都市狼 Toshiro Kawasaki 2025-01-20 10:32:10
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