慾求 -茶色い詩-
川崎都市狼 Toshiro Kawasaki
詩が差し迫つてくると
私の中のアラームが鳴る
排便の際の
直腸のサインと同じ事だ
その詩情はもはや老廢物である
と、肉體が云ふ譯で
この場合 精神は肉に隷属してゐる
譯で-
出してしまへ
出して、出し切つてしまへ
穢い話
などではない
生理的慾求を穢い と云ふ人は
最近さう見かけない
世の中の進歩とは
斯くあるべし
と私も思ふ
痔疾の苦しみを美と謂ふ人はゐないだらう
確かヴァレリーがそんな事を
アフォリズムとして遺したが
時代は移るし
詩は變はる
なんならこの私が
痔疾を詩ウタつてみせやうか
またの機会に
茶色い詩
で、よいのだよ
ヴァレリーさん
(note:フロイト學派的視坐から云つても
直腸サインと並ぶ詩とは
壯観な譬へではないだらうか)
#詩