あわくしろい日々
パンジーの切先(ハツ)

蝶々結びになっていた指をほどいて、

今はとてもあわくしろい、

わたしたちから剥いでいったシーツをヒシと掴んで、
数珠繋ぎになった看護師たちが、
屋上へ舞い上がっていく、

手垢でももいろになった公衆電話の受話器から聞こえる、
ツー、ツー、
に合わせて、わたしたちは、踊る、踊る、

気の利いた誰かが、
花のワルツをかけて、
わたしたちのよろこびは、
とてもあたたかく、やわらかいところで包まれる、

眠るより早く、影絵遊びをやめるということは、
ここではゆるされていない、

影うさぎは、昼間のわたしたち、より高くとんで、
わたしたちは笑い転げて、
指をもつれさせたまま、
ベッドへ沈む、

まいにちが儀式のようにぐるぐると回り始めて、

わたしたちのつくったくらいうさぎが、
(ほんとうのほんとう)を
囲んで踊る夢、 

あたまの中に、
透明なひとかげが満ちて、
わたしはアルファベットマカロニの一粒になって遠くへ流れていく、
これも、夢、

すべての夢が、あわくしろくて、
うっすらと、おしろいが振られている、

わたしがげんじつへかえるとき、
"わたしたち"はどこへゆくの、

小庭のいりぐちが、あまい匂いを放って、
それは、ただ水仙の香りだった、と
種あかしされるとき、

夢がさめて、シーツが剥がれる、


自由詩 あわくしろい日々 Copyright パンジーの切先(ハツ) 2025-01-17 00:08:57
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