追憶ーエピソード①ー
りつ

あなたは
わたしを憎んでらした
冷たい怒りを身に受け
仕方がないのだからと謝った

それがわたしたちの出逢いでした

嫌みや皮肉がたっぷり
それでも、わたしは嬉しかった
面と向かって話してくれる方などだれもいやしないのだから


そもそもわたしは
夫に話しかけて下さるあなたが大好きでした
姿がみえないと、夫に
「どうしたんだろうね」とたずね、
いつもいつも
「いいひとだ、いいひとだ」と言い続けました

(夫に感謝した方が良いですよ。
そもそもそもは、夫が此処に誘ってくれたから、わたしたちは出逢えたのです)


最初は、
孤独な老人の慰め相手になろうと思いました。
あなたは、あるとき余りにも絶望してて、
わたしは夫に
「彼を助けて!彼が自殺してしまう!お願い、返信をしてあげて!」
と頼んだのです
わたしも勿論、こころを込めて返信いたしました

あなたは
すこしずつ
打ち解けてくださった

一つ唖然としたのが
わたしが
「夜のお話相手が見つかると良いですね」
と話しかけたとき、あなたは
「伴侶は諦めています」
と返されました

わたしは、
(え?伴侶?私はネット上の話し相手のことを言ったんだけどな…)
正直、とんちんかんなひとだな、と思いました

駄目ですよ
照れるからと言って、邪魔なさらないで下さいね

お寿司と新蕎麦から始まって
いろんなお話をいたしましたね

まるで、めおとのような会話だなぁと
不思議と落ち着いたものです

それでもわたしは
あなたを疑い始めるのです


      エピソード②に続く(本日はここまで)




自由詩 追憶ーエピソード①ー Copyright りつ 2025-01-16 00:43:12
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