鬼子母涙次③
川崎都市狼 Toshiro Kawasaki
[鬼子母涙次キシモ・ルイジ冬の句③]
風邪引きの貴女が今日もミニとはね
水鳥や水掻き持つは足掻く為
取り敢へず手を繋いだり冬夕焼け
風呂吹きは裸に昆布コブを纏ひたり
ショールでもストールでもと肩に掛く
寢過ごして息白き事気付かざり
氣の利いたつもりで根深のみの汁
手袋の縫製を云ふ百均もの
艶やかに葉牡丹牡丹の替はりたる
笑みこぼれ心の氷柱今日溶ける
牛乳や冬は干し草味となる
古日記より拔く句には昔あり
春支度待てぬ待てぬと老婆云ひ
あかぎれかクリーム臭きカップかだ
凍港を出でゆく船も凍てゝをり
雪嶺はあれは秩父だ晴れた日に
#俳句