冬景色
リリー

 冬日さす
 湖面を西風渡り行き
 岸の石垣でひとり聞き入る
 しづかな波の音

 水鳥が、あちらこちらで
 織部色の小々波についと潜り
 また現れて陽を浴びつつ
 光っている
 冠雪の比良が聳える北に揺蕩う
 眇眇たる群れもいる

 水面を滑り細い風に巻き上げられる
 彼らの鳴き声
 なにかが、耳の奥に残る
 私の生活には無い
 厳しくとも明らかに備わっている生命力

 不確かな希望へすがる新年
 日々の憂愁を熱い煎茶の香りと共に
 喉元へ流し込む
 私の生活にも、何ごとかの意味はあるのだ




 
      (近江詩人会 2025年1月「詩人学校」八九四号 初出)


自由詩 冬景色 Copyright リリー 2025-01-14 12:44:16
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