勝手に咲いてしまう花
夏井椋也


書けないのなら
書く必要がない

心の縁から
投げ込んだテーマが
もったり沈んでいくのを
焦げたトーストを齧りながら
眺めていた

書けていないのなら
書く意味がない

心の底を
彷徨うメタファーが
苦い気泡を吐いているのを
ウヰスキーを舐めながら
眺めていた

深夜
もぞもぞと
心の真ん中に
勝手に花が咲いた

慌てて寝床を抜け出して
誤変換だらけのキーを叩いて
タイトルと値札をつけてみたが

たぶん

違う




自由詩 勝手に咲いてしまう花 Copyright 夏井椋也 2025-01-14 11:38:50
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