甘い夢
まーつん
夢は、どんなに甘くしても
虫歯になる心配のない
お菓子のようなもの
思い切り、
甘やかしてあげて
いつもいつも、
苦い苦い薬ばかり
飲まされている
心の味覚を
神様が
DV気質の父親のように
あなたの口を無理やりこじ開け
知りたくもない味を
教える時
硬くつむった瞼の間から
絞り出した涙が
痺れるほど塩辛い時
あなたの中にいるパティシエは
腕まくりをして、新しいお菓子を作ろうと
もう、キッチンに向かっている
その材料は
経験や記憶の部屋に転がっている
顧みられることのなかった
小さな悦びの欠片
たとえ、あなた自身が
そうと気づいていなくとも
甘い夢はもう、
お皿の上に、乗っている