甘い夢
まーつん

夢は、どんなに甘くしても
虫歯になる心配のない
お菓子のようなもの

思い切り、
甘やかしてあげて
いつもいつも、
苦い苦い薬ばかり
飲まされている
心の味覚を

神様が
DV気質の父親のように
あなたの口を無理やりこじ開け
知りたくもない味を
教える時

硬くつむった瞼の間から
絞り出した涙が
痺れるほど塩辛い時

あなたの中にいるパティシエは
腕まくりをして、新しいお菓子を作ろうと
もう、キッチンに向かっている

その材料は
経験や記憶の部屋に転がっている
顧みられることのなかった
小さな悦びの欠片

たとえ、あなた自身が
そうと気づいていなくとも

甘い夢はもう、
お皿の上に、乗っている


自由詩 甘い夢 Copyright まーつん 2025-01-13 10:24:52
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