喫茶店の水
海
仕事を教えてやるよと
レトロな喫茶店に連れていかれた
ノートパソコンより新聞が似合い
年上の人ばかりがいた
テーブルに置かれた
丸い占いのマシンに百円玉を入れると
丸まったおみくじみたいなのが出てきた
自分に関係なさそうなことが書かれていた
占いと同じような話を聞くが
すぐに耳からこぼれて
コーヒーの中に落ちていった
濃いコーヒーをちびちびと飲む
目の前のタバコの臭いに息苦しくなる
壁のシミのように染まることができずに
カルキの味がする水を飲んでも
胃の中のコーヒーは薄まりそうになかった