美少年
川崎都市狼 Toshiro Kawasaki

〈月遠く近くありけりむじな汁 涙次〉
吹きつ曝しに月が炯々
アーサ・キットのしなは
何となく過去から吹く
生温い風のやうで

男と女
それ以外の人
それ以外
と云ふしかない
僕はまるで莫迦だ

僕の少年時代
確かに同性愛はあつた
身に覺え…
彼は「轉向」し
バレーボール部に入つて
ヒンズースクワット何百回
逞しい「男」になつたが

僕の腕を吸つた
口唇のなまめき
迄もを變へてしまつたなんて
全き美少年と形容、の致し方ない
ウツクシサをも棄てた
彼の中の「男」は
何処でだう芽生えたのか

それ以外の人
でゐる事は- 慄きと共に
妙にカルーく
僕に纏はりついた
僕自身の思ひ出

#詩


自由詩 美少年 Copyright 川崎都市狼 Toshiro Kawasaki 2025-01-10 18:51:11
notebook Home