雨とアップルパイ(それと)
らりるれろ。

染み入ってゆく、雨
恥ずかしい入れ物
としての私
穴ボコのよな
染みを作っていく

待ち人の
声を嗅ぎつける
首輪は無いのに
ちょっとぎこちない

季節が
ちょっとだけ錆びついて
かなしみのために
道草に薙ぐ

車窓は轢かれて
ゆくだけで
もちっと優しげな
目を
してほしい

ふと別の人を
思い出す
忘れないためのノルマです

夜行バスの咳
が笑い出す
だって彼になれない
私私私

ねっとり、
しかし
ざっくり噛み締める
刹那で千切りになって降る

知らないなら
知らない方がいいんです
線が歪み
絵が絵でなくなる地獄

私は今日も
芳しい匂い
を漂わせながら
終の日まで点線をなぞる

猫の
おしっこの跡
消えない消えない消えない

優しい人になりたいよ
そう云います
そう云うだけです


自由詩 雨とアップルパイ(それと) Copyright らりるれろ。 2025-01-10 14:18:43
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