10000年の愛してる
りつ
砂の音がさらさらと流れてゆく
ここは敦煌
神に恋をした少女の木乃伊が
砂漠の下に眠ってる
乾いた風に晒されて
腐敗もせず、そのまま蝋化して
今にも目を醒ますよう
少女は夢を見ているのだろうか
手が届くはずもなかった神に
愛していると告げたこと
少女は知る由もない
神が天山より舞い降りて
少女を祝福したことなどは
不老不死の神と人間の少女の恋は
最初から叶うことなく
少女はただ熱く眠るだけ
風が砂を舞いあげて、散華のように咲いていた
令和7年1月7日 日本WEB詩人会初出