流離人
板谷みきょう

忘れかけた思い出だけを
抱きしめて君は出ていく
ほのかな想いを抱く女も知らず

憧れだけを頼りに
ベルの音が響くホームで
見送る人の影も無いまま
一人列車に飛び乗ったのは
朝もや立つ夏のこと

僅かばかりの
未練を残し
君は何を考えたのか

振り返り断ち切れ夢のため
帰れぬ今は旅立ちの朝

希望に満ちた憧れの街
過ごすうちに君は気付いた
見渡す限りにビルの立ち並ぶ
他人だらけの街だったのを

車が通ると揺れる部屋で
バイトに疲れた体を横たえ
夢も色あせ
ギター爪弾き歌う
優しかった故郷を

当てもないまま街をさまよい
君は誰に愛されたのか

出かけよう
かつて見た夢を探しに
捨てれぬ今は流離の朝


※AISUNO作曲
https://suno.com/song/6ade692e-e84c-4206-89df-db25e16dd8bf


自由詩 流離人 Copyright 板谷みきょう 2025-01-05 15:11:58
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