風の音
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涙でぎとぎどのぜつぼうと
血でがびがびのきぼう
誰かが笑っているのをいいことに
私だけが生きている
申し訳程度に連れている神様の子供
神様がいないことにも慣れた癖に
そこから先へ行けないと思ったこともない
ふわふわした未来への憧憬
世の中には一生ケーキを焼く人がいて
わたしはつまり一生を生きることだけでもういいと
諦められ慰められ憐れまれ恵まれ与えられて
しにたいと言う事すらできずに
幸せになりたいと言ったことがない
幸せだったこともない
幸せだったかどうかを考えた時に
全然違ったなって思うだけ
この世に何かを残さなければいけないなんて
もうとっくに終わった時代の価値観で
なにひとつ残さない事
それが意味があるという結果になっていく皮肉
全ての物はもう世界にあったのに
ないとかあるとか言って
おもちゃ箱を引っくり返した様な騒ぎで
毎日がクリスマス
守るべきものなんてもう何一つない
本当にあるそのすべてと
すべてなんていうまぼろしと
あなたはやっぱり人間のままで人間の話をしたがる
後悔したらいいのかもしれない
後にも先にもこれっきりの命
もっと素晴らしいものがあったって
もっと美しくなれたって
神様から貰ったものは神様に返っていく
人間ははなから何一つ所有できない
できると思っているから間違えてしまう
ただそれだけのことを何遍も繰り返して
いつか神にもなれる
さかなにもとりにもくもにも
ほしにはなれないかもしれない
あなたのこいびとがのぞまなかったら
美しいことってなんだろうな
小鳥が死に際に吐く息の細さかな
目に見えないけど聞こえる
手のひらの中で失われていくもののこと
幸せになれると思ってた
そうした方が生きやすかったから
たとえば育てるよりも買う方が楽なのと同じ
こうやって書くよりも打つ方が早いのと同じ
意味の分からないことを話そう
殴るよりも大事な言葉を選ぼう
金を稼ぐよりもっと楽しいことをしよう
傷付けるより良いことをしよう
何の為に?
分からないけど
そうしようって風が泣くから
そうしたいって光が喚くから
明日世界は終わったりしない
君は生き続ける
絶望と希望が入れ代わり立ち代わり
モノクローム
あるがままなんて無理だな
壊れてしまったものは元に戻らない
悲しいと言ってしまったら
それで終わりなんだ
眩しい方に傾いていく影と
左回りに進んでいく時計
相変わらず神様の話をやめない私の
天使と悪魔の本
荷物が届いたら開けるだろう
きっと何かよいものが入っている筈だから
そうやって生きていくだけ
そうやって