熱帯魚はしゃべらない
秋也
まだ生きていたいような
もう果ててしまいたいような
狭間をゆらゆら
ベタの尻尾のように揺れて
布団にダイブ
ぬいぐるみは可愛いが
しゃべりかけてくれないし
ぬいぐるみの台詞を自分でしゃべると
途端に可愛くなくなる気がする
猫はもっと可愛いが
ニャーとも寸とも言わず
人を労わらない
何色の猫でも抜群に可愛いが
やはり青が多めの
今日この頃
揺蕩う気持ちを余所に
冬の空は青い
青が多め
結局もう少し生きてみるか
まだ人生でベタは飼っていない
青が濃くてとびきりひらひらする子がいい
口から吐く細かい泡も観たい
「亀なら数回飼ったんだけれどな」
やっぱり生きたいらしい