熱帯魚はしゃべらない
秋也

まだ生きていたいような
もう果ててしまいたいような

狭間をゆらゆら
ベタの尻尾のように揺れて
布団にダイブ

ぬいぐるみは可愛いが
しゃべりかけてくれないし
ぬいぐるみの台詞を自分でしゃべると
途端に可愛くなくなる気がする

猫はもっと可愛いが
ニャーとも寸とも言わず
人を労わらない
何色の猫でも抜群に可愛いが

やはり青が多めの
今日この頃

揺蕩う気持ちを余所に
冬の空は青い
青が多め

結局もう少し生きてみるか
まだ人生でベタは飼っていない
青が濃くてとびきりひらひらする子がいい
口から吐く細かい泡も観たい

「亀なら数回飼ったんだけれどな」
やっぱり生きたいらしい


自由詩 熱帯魚はしゃべらない Copyright 秋也 2025-01-03 20:44:08
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