偽物の光と影をかりにゆく
AB(なかほど)

 

僕のことばが偽物だという
君は本物だろう
君が笑ってるなら
偽物でいいと思う

唇のはじから放電された言葉が
穴の開いた心には帯電されず
熱を発することもない


君も偽物ならばと
あお あお 
と子供のように泣いた
その涙も偽物でまだよかった

心がさびついた頃に放電されたものが
ようやく誰かの記憶にトラップされて
溶けてゆく



初めての命から40億年
そのうち300もの遺伝子が
そのままヒトに残っている

僕のことばが偽物だというのならば
君が本物なんだろう
君が笑っているのなら

それでいい




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自由詩 偽物の光と影をかりにゆく Copyright AB(なかほど) 2025-01-03 16:53:38
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