偽物の光と影をかりにゆく
AB(なかほど)
僕のことばが偽物だという
君は本物だろう
君が笑ってるなら
偽物でいいと思う
唇のはじから放電された言葉が
穴の開いた心には帯電されず
熱を発することもない
君も偽物ならばと
あお あお
と子供のように泣いた
その涙も偽物でまだよかった
心がさびついた頃に放電されたものが
ようやく誰かの記憶にトラップされて
溶けてゆく
初めての命から40億年
そのうち300もの遺伝子が
そのままヒトに残っている
僕のことばが偽物だというのならば
君が本物なんだろう
君が笑っているのなら
それでいい
fromAB