純朴だったわたくしのシェアハウス巡礼記
おまる
あれは、何年前の話だろうか。コロナ過の直前あたり、
シェアハウスに住めないものか?と考えていた。
理想を言えば、引っ越さずに、その時に住んでいた部屋に誰かがわたしと一緒に
住んでくれれば最高だったが、当時の住環境は決して良いものではなかったので、
そのような期待は非現実的なものに思えた。
わたしはまず働場の近くにあるシェアハウスを探してみることにした。
富ヶ谷や代々木上原~代々木八幡あたりを重点的に調査した。
なんとなく柄の悪いにーちゃんたちが屯するイメージだけが
先行していたが、当地を散策し、地場を訪ね廻っているうちに、
むしろ”お高くとまる”印象を受けた。
しかし、このときに抱いた印象がその後、
必要以上に悪化することになろうとは思いもよらなんだ。
何と、経済的な余裕があるにもかかわらず、申し込んだシェアハウス物件、
すべてが却下(審査落ち)されたのである。
理由については、いや~…という感じでお茶を濁されたが。
今にして思えば、相談したその地場の態度が妙だったのだ。
ビビる大木みたいな、色黒の、若い男だったのだけど、
(不動産屋独特のあの)終始、目が笑ってない表情、ひとことでいうと「冷笑」
その目の奥には「弱者男性」差別と密接に結びついた思想が
秘められているように思われた。
これじゃあ不動産業界は、ステルスな出入国管理当局みたいなものであるよな、と。
数日、ムカつきが止まらなかった。
東京の生活そのものが、昔と比べて身軽さを失っているようである。
やっぱり一等よいのは、住んでいる街/町で、知り合いを作って、
相互扶助ネットワークを構築することなのだろう。
ここを離れたくないなあ、っていう、感覚を大切に。