巳年酔夢
ただのみきや

月のとまった樹の根元
眠る蛇の
耳の彼方に凍りつく
川の音 ふるえる
齧歯類のような
尖った痛みを胃の腑に飼って

雪をのせた朱い実の房
星座をなぞる指の匂い
焼べられた記憶
せつなゆらめくその笑みに
酔っては醒め また酔って
めくる間もなく去り来る年よ

神楽囃子にかどわかされて
討伐される鬼や魔と
手作りの幸福論を抱いて
雪野へ身を投げる男
廃屋が雪の重みに耐えかねて
つぶれる音 胸の何処から


             (2025年1月1日)







自由詩 巳年酔夢 Copyright ただのみきや 2025-01-01 15:16:58
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