母が教えてくれた歌
レタス

父はギャンブルと女に金を使い果たし

家に給料を入れることは殆どなかった

幾度となく踏切りの前で躊躇したことか

カンカン カンカン ゴォーッ ゴォー

母は嗚咽を押さえてぼくの手を握りしめ

電車は勢いよく通り過ぎていった

東の空に紅く重たい月が昇り

家路をたどる道すがら

遠い記憶の果てに覚えた

母が教えてくれたあの歌は

ぼくの胸を今もそっと撫でてくれる


自由詩 母が教えてくれた歌 Copyright レタス 2024-12-31 20:47:29
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