思い残しつつ
ヒロセマコト

真っ赤な毒で満たされた盃を
一息に飲み干した

人生の不遇も悲しみも
すべて人のせいにして
生きてきた贖いとして

置き去りにしてきた不義理の数々
あなたは思い出すだろう

人の優しさを貪り
愛で報いることもせず
差し伸べられた手を振り払って
不貞腐れて生きてきた天の邪鬼よ

絶望の風に弾き倒され
凍てついた孤独の地をのたうち回り
声をあげて泣けばいい

涙が凍り目は塞がり
感覚を失った足は萎え
立ち上がることすらできなくても

あなたの心臓は脈打つことをやめず
安息の日はまだ遠い

毒を吐き戻し
涙と涎で汚れた顔を上げれば
あなたはきっと
少しだけ変わることができる

傷んだ体を引きずりながら
次の門をくぐり
今日と地続きの明日への道を
ともに歩こうよ


自由詩 思い残しつつ Copyright ヒロセマコト 2024-12-31 15:50:23
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