やさしい貝殻
秋葉竹


 

いつも海辺を歩くと
貝殻を探してるのに気づく

最初は海の向こうに
なにがあるのかと目をこらし
海と空の境目がちゃんとあると認め
それが宇宙と地球を隔てる線だと想い
次いで波の音に耳を傾ける
そして潮の匂いを感じ
ひとさしゆびで水平線をなぞる

風が髪を撫ぜてくれたら
ふたたびひとりで歩き出す
なんどもなんどもやさしさを感じたが
なにがやさしいのかはわからないから

最後はいつも
足下の濡れた砂をみて歩くんだ

そしてそのときなぜか
貝殻を探して歩いているのに気づくんだ







自由詩 やさしい貝殻 Copyright 秋葉竹 2024-12-29 10:21:04
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