N°
ryinx
世界はゆめ
みてる
木々の上で
鳥が鳴いている
その光景を見ている
鐘の音が
どこかで聞こえる
耳を澄ます。
日々、
の
暗闇のなか、一日がはじまる どこか
に行こうと、
座標の軸に沿って移動する
『WALL』
いつか考えていた。世界について
いつかいなくなる事について。
感情に沈み込んでゆく
底のない砂のように
けれどもなにを
すべては消え去る
人と草木と記憶と
私はきえる
泡みたく私は消えている
そのうちに、この私もきえる。
何故、世界は無限、に続くかもしれない
と、きみがいうとき
そうであるといい。きっと。使者たちや、
いつしかの居なくなってしまった仔等も きっと
どこかに、
そういう事にしよう
何のために
みんな いなくなる、
わたしはきえる
このせかいはきえる
けれども時間
の流れ、は
はやくて
『RAIN』
雨、西から暗雲が近づいている
そうとも知らずに家を出る。
午後、小雨が、それで、目的地へ向かう途中で
喫茶店に入る。鞄から本を取り出して読みはじめる
注文したコーヒーがテーブルに置かれる。
窓の外 人はいない。
コーヒーを飲みながら、本を読んでいる、
なんだか文字が微妙にうねっている
マーブル、模様のように
文字が溶けだす
ぽつん、と水滴が落ちる
紙の、上に、
染みがひろがってゆく
本のページは黒に染め上げられてゆく
やがてページ全体に暗闇が広がる。
その暗闇をしばらく眺めていた
コーヒーを飲みながら
*
背くらべ、してた
トマトの食べる
昨日の、午後(の昼さがり
みたいに)
泡が、たち消える、
炭酸(飲料水の)
落ちてゆく(弾丸みたいに)
(瞬間)晴れた陽を浴びて、
どうやってここまで辿りついたか
思案に暮れた、きょうの陽は温暖です。
めいっぱい
背伸びをして
深呼吸を(水の)なかの
(音)
隣の席ではケイコはりりり
と鳴る、携帯を(とりだして)
その
間にどこかの
知らない
誰かとはなしてる
『in Water』
きみは暗闇のなか
ゆめの
なか
或いは
一昨年に、感染症が流行った
きみ
は
君は、大丈夫
でよかった
きみはだい
じょうぶ で
よかった