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竜門勇気


誰も助けてくれない場所になら行きたい
だれも見向きもしない場所へなら
すべてがある暖かさ
どことも比べられないような安心できる人たちに囲まれていたら
いつか肺の中は綿でいっぱいの
人形になっちまうんだ
誰かの胸に抱かれて
自分が何を欲しがるのかも忘れて
とても奇麗で清潔なままで
破滅が来る日まで完全な存在であり続ける

あの場所になら行きたい
子供のころ作った地図の中心
無秩序で良心だけがある世界
胸の中の綿が燃える
呼吸のたびに炎が明るく光って消える
冒険と危険が同じように地図に書かれている
恐怖と変化が同じ記号で書かれている
あの地図の中心だったら僕らの世界は素晴らしいものだったはずなんだ
どうしてこんなに悲しいのかわからない

理由のない悲劇をもう一度
まだわからないならもう一度
あの場所で作られた宝物たちが
錆びた牙に嚙み砕かれてるとき
机に座って次の世界を享受してる
これは世界のすべてじゃない
そして今ある世界のすべてだ

もう一度行ける場所は何を見せてくれるだろう
過去のある日何かをひとつ変えられるとして
何を言い訳に世界を変えるだろう
どれだけたくさんのものを壊してすら
これでよかったと思えるために
どれだけたくさんのものを壊すんだろう

あの場所に帰りたいだけ
そのためだけにどれだけ壊せるんだ?
そのためだけにどれくらい
どれくらい僕は壊せるだろう
どれくらい壊せば戻れるのか
それだけ考えて生きていくことになるのか?
もう壊れそうなものも思いつかないってのに


自由詩 area to Copyright 竜門勇気 2024-12-24 23:56:24
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