Way To Normal
れつら
ハゲちらかしたベンと
昨日、一時間だけ話した
初めて会ったときから10年経って
えらくかわっちまったなあ、って去年
思ったんだぜ、って言ったら
ベンは頭を掻いて
毛髪が爪の間に噛んだ
ベンのお粗末な頭髪は
あの頃のファズベースを思い出させる
手のひらでなぞるとざわついた
それで気持ち悪く笑った
僕はといえば、10年経って
すっかり出遅れてしまったよ
それもこれも気づいてしまったから、
僕のハイスクールライフは、全然、悪くなかったってことに
なのに君の10年前は未だに
弛んだリズムと伸びきったベースの上で駄々をこねてる
でも君のことは好きだよ
友達だからね
「最近は何聞いてるの?
「チャットモンチー
「そいつはクールなのかい?
「クールかどうかはわかんないけど
「女子だよ
「ジョシ
「she is a girl.
そいつはいい!
そう言ってベンは笑った
だから君はそんななのさ
そう言ってベンは笑った
ローファットのビールを飲みながらハイスクール・ライフの話ばっかりする
けど僕はもしかして、疑ってる
君もけいおん!を見て喜んでんじゃないかって
ベンと1時間話している途中で
茹でかけたパスタをホワイトソースと合えた
それから火にかけて
話が終わるまで忘れていた
安物のフライパンに焦げ付いてしまって
ベンはまた笑った
そしてCDをかけた
その曲は前にも聞いたよ
鍋底をがりがりやりながら振り返ると
知らない曲だった
僕も気持ち悪く笑った
焦げたパスタを僕は食べた
普通に食べて、寝た