紙星
本田憲嵩
夕方まで盛んに降りしきっていた吹雪。部屋の床の上に転がっている、くしゃくしゃに丸められた、クズカゴの縁に跳ね返ってしまった。いくつもの紙クズ。それらに混じって、いつもよりもすこし早めに破り捨てた、今日という日の日捲りの暦。あなたへの想いと疑惑の念も、結局なにもすることが出来なかったこの冬の日曜日の意味も、まだどうしても捨て切ることが出来ずに。けれども、埒、がもう明かない、ので。
ので。雪が止んだ今、すぐ近くの自販機へと長靴を履いて、せめて外の青白い世界へと出かけてみる。とても冷たい大気。氷結された澄んだ冬空、文字の無いいくつもの星星のくずが、偽りなく輝いていて、なおかつ缶コーヒーがとても温かい――。もうじき本当に日付が変わろうとしている。