雨上がり
たもつ



雨上がりの水槽が
好きだった
誰も手を挙げなくても
ありがとう、と
目をつぶった皆に
微笑んだ先生
一番後ろで薄目の
わたしだけがほんの少し
共犯でいられた
水槽を出ていった先生は
何も無い雨上がりを
今もたった一人で
泳いでいるのだろうか
残されたわたしは
あの日から
人の形を忘れていた




自由詩 雨上がり Copyright たもつ 2024-12-12 07:15:20
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