番
201
本当の所
人の価値というのは
生まれた時に決まっている
君は東大に行けない
どころか
家を出ることも叶わない
マックでコーヒーを飲み
ぼんやりと免罪符のウィキを読み
一時間後のことを考える
あの人びじんだよな
とか
あの人の冗談が好きだなとか
せめて
世界が良い所であると
自分にとって都合の悪い思い出を忘れたがる
そういう風に出来てる
生まれた時から
死ぬまで
人の価値
仕事が出来るだの金を持ってるだの
愛があるだの
本当はみんな分かってる
どこかで気付いてしまう
そんなになってまで生きる必要ないんだって
誰もいない路を帰ってくる
見えない海を
ひとりで泳いで
東大っていう
馬鹿馬鹿しい夢を
見させられてたこと
行きたいんじゃなくて
髪を切るみたいに
ただ思い出したくないんだ
それにまつわること
髪に触っていいのは
恋人だけだって言われたこととかね
何の為に生きてるか
分からなくなった時は
気晴らしに歩く
世の中を知ったような気になって
自分が見てるものが
本当はなんなのか分かろうとする
人の価値
希望でも理想でもなく
絶望でも期待でもなく
生まれた時から決まってるのに
知らないだけさ
知りたくないなんて
思ってるかどうかなんて
なれるかどうかなんて
なりたくなかったなんて
何もかも
分かってるから
もう一度言うだけなんだよ
ただ確かめたいのさ
生きるってそういうこと
元あったものをなぞる過程
本当は僕は
天国に行きたかったんだ
神様の所へ
そこで鳥にでもなって
ずっと世界がどんなに素晴らしい所か
歌ってたかったのさ
極端だな
まあ世界には北極と南極を行き来したがる鳥もいるし
籠の鳥がいたっていいだろ
仕事に行かなきゃ
他にすることもないし
人が好きだ
ナチュラルローソンでコーヒーを買って
バスに乗って
公園で一人になる
人の価値かぁ
ほんとはくそどうでもいい
と思ってる癖に
愛してるとか愛してないとか
ずっと言ってるんだろうなぁ
まるで本当に好きになったみたいに
嘘じゃないけど
本当のことでもないままで
ずっと