烏賊
atsuchan69

手足も鋭い口の一部だった、
小さな鯵はたちまち餌食となった
隠されたふたつの針が捕食者の自由を奪う
烏賊は、見知らぬ力に捕らえられた

月のない夜だから、
磯は辺り一面墨を溢したような暗闇だ
揺れる光が沈むと、海は美しく瞬く 瞬く 
ドラグが回り、穂先で鈴が鳴った

糸を巻き、烏賊をゆっくり寄せてから
錘の付いたステンレスのヤエンを糸に滑らせる
三つ針のフックは、自分ではんだ付けをした

どうだ、もう逃げられない、
おまえは刺身にされて酒の肴になる
下足も炒めて、弁当のオカズだ






自由詩 烏賊 Copyright atsuchan69 2024-12-11 05:44:02
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