恋慕
ただのみきや

やっとのことで傍まで来た
ああ熱情
   文字すら吐息まじり

すぐに結露して
景色を曇らせる
一瞬見えた地吹雪の荒野

温度差はどれほどか
そのまなざし
大きなはめ殺しの窓

近づくほどかすみ
手をのばせば遠くなる
夢の記憶をたぐるような

一篇の秘密と一本の鍵
季節をまとう
     ことばの愛人よ


            (2024年12月7日)





   


自由詩 恋慕 Copyright ただのみきや 2024-12-07 09:46:42
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