道を踏み外した女
りつ
私は高級娼婦
どんな男も選り取り見取り
お客は私が選びます
安い男は指先に
触れることをも出来ません
贅沢三昧
パーティーの日々
ボンボンを食べ、シャンパンシャワー
さぁ皆さま
今宵の宴に乾杯いたしましょう
だけど、この頃、何だか変
この生活が何故か物憂い
つい出てしまう欠伸を綺麗なセンスで隠し微笑んでる振り
誰?
いったい誰なの?
太陽の声 豊かに輝き
私の何かを呼び覚ます
(不思議だわ 不思議だわ あの人の声が耳から離れない)
あの人が私を愛してる?
愛など捨てた私なのに 私なのに
私、私、私、わたし…(勇気を出して認めてしまおう)
わたしもあなたを愛しています!
ふたりで住む小さな家
知らなかった安らぎと満ち足りた微笑みと静かな喜び
ここは完璧なわたしたちのお城
おとぎの国でも夢の国でもかなわない
お父様?
初めまして
ようこそいらっしゃいました
ではわたしたちに別れろと?
いやです!いやです!ほんとうにしんじつこころから彼を愛しているのです…
………分かりました。それが彼の為になるななら。
さようなら。あなた。
何故別れたかですって?
馬鹿なひと
ちょっと可愛いウブな仔犬をもて遊んだだけ
私が貴方なんかに本気になるとでも?
どこまで馬鹿なの
私が愛するのは大金持ちのこの男
貴方じゃない!
(ああ、神さま。お願いです。どうか、どうか私の嘘を信じて)
私、独りで死んで逝くのね
それが道を踏み外した女に相応しい
子守唄でも口ずさみましょう
もう声も
出やしないけど
あ...
嘘だわ嘘だわ
あなたのまぼろしがみえる
ああ、ああ、あなた!
わたしのもとにかえってきてくれたのね?
なんてわたしはしあわせな女なの!
いのちがそこかしこから湧いてくる
わたし病が治ったわ
ああ、しあわせよ!
わたし、あなたといきてる!
小さく鳴っていた オルゴールの音が止まった