母の話
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母の話をしよう
親というものは常に身勝手だ
ある場合には、という注釈などつける必要が無いほどに
母のしている最もおぞましい勘違いは
子供を所有していると思っている所
自分の産んだ自分の財産
そうやって育てられることの痛みが分からない人には
一生理解できないことがあるという自覚を持って欲しい
簡単に言えば
選択をさせない
金を与えない
殴る
罵り
命令し
目も合わせない
その地獄から私達がどうやって這い上がったか
這い上がってやっと見た世界がどれ程醜かったか
今以て母は学ばない
子供には自分と違う道があるということに気付かない
詩などどうでもいい
私はあなたが心配だ
この世で生きることについて
自分の足で歩いたことすら知らないあなたが
自分の子供が立った時
親があんなにも喜ぶのは
きっと本当は
いつか自分達の元を巣立つことが分かっているから
それをいつまでもぐずぐずと
死ぬまで依存してやろうという気でいる
私の愚かな母の話をしよう
私は私の話など一生できないだろうから