病棟の朝
レタス

磨きぬかれた回廊が朝日に照らされピカピカと輝く頃
眠りに就いていた患者たちは目覚めの一服をふかし
何時もと変わらない挨拶を何回もする
そして名前を呼び合うことで互いを認識するのだ
ぼくはブラックのアイス珈琲を2本飲み干し
漸く光る回廊に出るのが約束事だった
楽しみといえば朝食なのだが
ぼくは食べたら吐き戻してしまうので食前薬を飲む
今朝は豆腐とワカメの味噌汁、ホウレン草とウインナーのソテー
インゲンの胡麻合え、鮭ふりかけ、牛乳
まずまずのメニューだった
検温と脈拍のチェックが済んだら解放される
中庭の銀杏の樹がそびえ立つ木陰のベンチで伸びをし
どんな1日になるのかコインで占う
北西の冷たい風にまだ蒼い銀杏の葉が舞い散り
朝日を浴びる


自由詩 病棟の朝 Copyright レタス 2024-11-29 20:12:05
notebook Home