rouge so sweet
塔野夏子

おぼろに深まってゆく夜
鏡に映るのは諦めをつなぎ合う僕ら
幾重にも繰り返されたパラダイス・ロスト
進むほどに歪んでゆく羅針盤

僕らの無邪気の夢はとうに喰い尽くされた
誰かに あるいは僕ら自らに

諦めをつなぎ合う僕らは
幾重もの僕らの鏡像の中へと
朧に深まる夜を纏って
沈んでゆく

それでも残ってしまっている
絶対不可侵の絶対純粋培養領域
それに気づいている僕ら という残酷

だからまた震えながら
うたいだしてしまう僕らの唇に
かすかにでも触れる光があれば
いっそ塗り込めようか 皮肉なほど甘い色で



自由詩 rouge so sweet Copyright 塔野夏子 2024-11-29 10:06:32
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