rouge so sweet
塔野夏子
朧に深まってゆく夜
鏡に映るのは諦めをつなぎ合う僕ら
幾重にも繰り返されたパラダイス・ロスト
進むほどに歪んでゆく羅針盤
僕らの無邪気の夢はとうに喰い尽くされた
誰かに あるいは僕ら自らに
諦めをつなぎ合う僕らは
幾重もの僕らの鏡像の中へと
朧に深まる夜を纏って
沈んでゆく
それでも残ってしまっている
絶対不可侵の絶対純粋培養領域
それに気づいている僕ら という残酷
だからまた震えながら
うたいだしてしまう僕らの唇に
かすかにでも触れる光があれば
いっそ塗り込めようか 皮肉なほど甘い色で