フリスビー
そらの珊瑚

まっ青に晴れた空の下
うなりをあげた風と共に
ちょっと前の未来からやってきた
小さな落下傘部隊が
地上に舞い降りてくるけど
今しか見えないにんげんには見えていないらしい
彼らは透明の弾を連射しているけど
当たったとて
穴があくわけでも
不幸になるわけでもなく
相変わらずのんきなにんげんは
ほら、とってこい、とか言って
フリスビーをボクへ投げてよこす
落下傘部隊は
さっそくフリスビーを標的にしてるけど
(背中にUFOって書いてある)
あれはボクのもの

犬の持ち時間は
にんげんのより速く流れて
ボクはとっくににんげんを追い越してるけど
悲しんでるひまはない
走ってつかまえて
走ってはつかまえて
走れるうちに走って走って
歯形のついたフリスビーで
今という場所でつながってる
落下傘部隊に撃たれたボクの身体から
魔法のように
冬毛がむくむく生えてきて
冬に向かって
犬たちはみんな熱く燃えて
生きいそいでいる


自由詩 フリスビー Copyright そらの珊瑚 2024-11-25 13:58:34
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