中古テレビと奇跡の人
室町 礼

下手な探偵小説読むよりも興味深い魑魅魍魎
の闇世界が立ち現れてきました。
いやね、
兵庫県知事選挙にはまったく関心がなかったんです。
というかわたし、新聞テレビいっさいみないし
週刊誌などもう三十年来、一冊も買ったことがない
もので
兵庫県知事選挙についてもよく知らず、知事の斉藤
なにがしがハラスメントで不信任になり知事選がは
じまったことくらいしか知らなかった。
ただ、ツィッターXからある程度の情報は入ってく
る。
しかしその情報たるや、目の端で捕らえる程度なの
だけど、一見すると誹謗中傷合戦なのです。
わたしはしょせん政治家同士の薄汚い泥試合だろう
と決めつけていましたからそれらのツィートをいっ
さい無視していました。
ところが、仄聞するところによれば
ポンコツテレビが斉藤元彦知事を一方的に批判して
いるという。
わたしはトランプの選挙に注目しており、手一杯だ
ったのですが賞味期限切れテレビが斉藤氏を非難し
ているのなら斉藤氏が正しいのかもと思い直し、
資料や情報を集め始めました。
すると、吐き気のするような邪悪が、もう、うじゃ
うじゃとブラックボックスから這い出てきた。それ
らの資料や映像を整理していると深夜にほとんど、
うぎゃ~と悲鳴をあげそう
になるほど不気味でした。気持ち悪いほどどろどろ
してるんだけど面白い。キモいけどスキっ!という
アレですね。

まずメディアからも議会からも職員たちからも見放
されて
見送りもなく県庁舎を去り、9月末にたった独りで
IR須磨駅前に立って知事戦の街頭活動をする斉藤元
知事の発言をつぶさに追ってみた。
かれはこれまでどおりパワハラ疑惑についてはいっ
さい釈明や弁解をしなかった。全会一致で不信任が
可決されたときも顔色ひとつ変えず、マスゴミのマ
イクには微笑して返事を返していた。「県政は改革
の途上です。必ず戻ってきてやり残した仕事を続け
ます」
この人、どうしてこんなに自信満々なのだろうと思
った。そしてふと、かつてわたしが出会った奇跡の
人と同じ匂いを感じた。

斉藤氏は最初の一日は何も語らず、駅から降りてく
る人たちにただ黙って頭を下げていた。次の日かれ
が駅前で発言したのは彼が行った県政改革の成果と
内容だった。これが凄い。
こんなことをやって殺されないほうがおかしい、よ
くこれまで無事だったなとわたしが思うような内容
だった。
20年間の井戸県政が行ってきた田中角栄のような
政治。議員の利権や地位を思いやり、少々法律を無
視しても利益を与えるボスとしてのふところの深さ、
同僚や県議員への資金や地位の世話をする政治を斉
藤氏はいっさいしなかった。それどころか幹部の天
下りの禁止、海外支部の廃止、1000億新庁舎建設の
見直し、港湾利権の撲滅など、多分、利権関係者か
ら殺されて
も不思議ではないほどのむちゃくちゃな改革をやっ
てきたことがわかる。これじゃ県職員に嫌われるし、
県議員にも嫌われるし、企業にも嫌われるし、それ
らとつるんで深い関係をきづいてきた新聞テレビ各
社にも嫌われる。
もうこれだけで今回の騒動の本質が透けて見えるよう
な気がしたのですが拙速な結論は禁止だ、ひとまず
百条委員会をみてみた。

百条委員会というのは虚偽の答弁をすれば懲役や罰
金が待っている厳しい調査委員会です。
ですからそこで嘘をつく人はあまりいない。
その百条委員会で
斉藤氏による職員へのパワハラがあったと証明でき
たのはたったの一つだった。曰く。「知事は文房具
を投げた」
証明されたのはこれだけです。
そしてその文房具とは何か。ハガキ四分の一大の付
箋を折ったものです。委員「あなたに向かって投げ
たのですか」「いいえ」。その先は語られなかった
が多分、斉藤氏はその付箋をゴミ箱に捨てたのだ。
これが職員に対する「文房具を投げたパワハラ」な
のである。
もう笑ってしまった。こんなことのために百条委員
会開くってのがもうアホじみて笑うしかない。
正直、これ以外になにもない。誤情報でもなければ
陰謀論でもない。
百条委員会で明らかになったことは今のところこれ
だけ。
だからテレビのいうことはほとんどが斉藤知事を貶
めるための印象操作だったわけですが、そういう中
古テレビのデマは最近の大衆庶民は気づきはじめて
きている。

もう亡くなられたので名前は出しませんが斉藤知事
を告発した某県民局長。
この方は10年間に10人以上の県女性職員と不倫
をしていたという音声があります。
これは、わたしがあまり好きでないNHK党の党首
が匿名の県職員からもらった県議たちの話を録音し
たもので、その音声は間違いなく百条委員会
の委員長のものでした。その音声を信じるなら
性豪だけなら「羨ましい」だけで犯罪ではないし、
不倫もまた犯罪ではありません。あくまでもプライ
ベートな個人と家庭の問題です。しかしタマキンの
ように組織外部の女性との不倫ならともかく井戸敏
三前知事の懐刀(ふところがたな)として県の人事
権を一手に掌握していた人物ですから、明らかに職
権が関与したパワハラだったことは間違いありませ
ん。県職員と連続して10人も不倫関係になるなん
て自然な恋愛過程があったとはとても信じられない。
これは告発されれば間違いなく極めて卑劣な犯罪
(懲戒処分相当)です。しかもその女性たちとの情
事やデートの記録を勤務時間中にPCを使って写真編
集、動画編集して愉しんでいた記録が残っていた。
玉木不倫をあれだけ非難した朝日新聞ほかの新聞テ
レビが、何故かこれを闇に葬ってしまったわけです。
タマキン問題ではあれだけタマキンの家庭問題を誹
謗中傷した朝日が某県民局長のパワハラ不倫犯
罪については悲鳴をあげて必死にそれの公開を阻止
した。対立候補の稲村和美氏が朝日の社外論説委員だっ
たから内輪の不利になる情報を隠したとしか思えな
い。百条委員会は業務用PCの中味を全公開すべきで
ある。

わたしは正直、でも、もうこの人は終わりだなと思
った。
もうだれひとり、かれの味方はいない。
愚かな庶民大衆は新聞テレビのデマを信じて斉藤氏
を見限るだろう。
ただ......わたしの永いあいだの経験からすると彼
は奇跡の人なのである。断崖絶壁ぎりぎりになった
ときにいつも現れるあの信じられないような存在。
そのような人物がそのまま消えていくだろうか?
そんなことを考えながらわたしは寝入ってしまった。








散文(批評随筆小説等) 中古テレビと奇跡の人 Copyright 室町 礼 2024-11-18 17:41:21
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