地獄行きの電車

気怠い朝
電車で隣に座った人の
スマホを持つ腕の肘が俺の脇腹を刺す
肘にナイフが付いていて
人知れず意識を失っていく
みんなスマホを見ていて気づかないうちに
暗殺される
の妄想

それどころではない
立っている老人が転びそうに傾いたのを
サラリーマン風の男は避けて助けなかった
モヒカン頭の強面の男が老人を支えて助けた
立ち上がる気力の無さに死んだふりをした俺が
この殺伐とした中の希望を台無しにする
俺を肘で刺した奴が立ち上がり老人を座らせ
再び希望が生まれた

俺は暗殺されて然るべきだったのだ
死んだふりの罰で地獄行きとなった
電車は時刻通りに走っている
地獄へのカウントダウン
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自由詩 地獄行きの電車 Copyright  2024-11-12 18:31:27
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