地獄の使徒
栗栖真理亜

晴れ渡る空に茶色い靄がかかり
澄んだ蒼が穢く濁る空気はまるで
突き刺さるかのように喉を刺激し
噎せかえる異物感と圧迫感に思わず咳き込む

瞳の奥は砂と化合物で詰まり
止めどなく溢れる涙すら
それらを押し流す術を持たない

あぁ、まさに硫黄の空に彩られた世界
降り注ぐ雨水は冷たく人も車も汚してゆく

こうして天は怒りを顕にして
人類を絶望に追い込んでゆくのか

人間が飽くなき業を抱え
抑えきれぬ欲望に対して忠実に生きる限り
神からの罰としての禍は
繰り返し我々を傷みつけるだろう

そこにいる誰一人をもが
最も重い人の罪に気付かぬならば
永遠に視続けるだろう

苦しみ喘ぐ地獄絵図を


自由詩 地獄の使徒 Copyright 栗栖真理亜 2024-11-10 15:38:33
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